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年代判別の手引き

仕様変遷表

1833 C.F.マーティン I世、ドイツからアメリカに渡り、ニューヨークにギター・ショップを開く
1850 Xブレイシング開発
1854 サイズO(12Fジョイント)登場
1877 サイズOO(12Fジョイント)登場
1902 サイズOOO(12Fジョイント)、スタイル45登場
1928 スティール・ストリングスが多くのモデルのレギュラーに
1929 小型のレキュタングラー・ブリッジからベリー・ブリッジへ
1929 14Fジョイント、ピックガードが付いたOM-28を発表
1931 サイズ・ドレットノート(12Fジョイント)、D-18、D-28が登場
1933 D-45製作
1934 OOO、ドレットノートといったレギュラー・モデルに14Fジョイントが加わる、Tバー・トラスロッドが登場、ピックガードがレギュラーに
1942 オリジナルD-45製造完了
1943 スタイル42製造完了
1944 スカラップト・ブレイシングからストレート・ブレイシングへ、スタイル28のダイヤモンド・インレイが廃止
1947 スタイル28のヘリンボーン・トリムが廃止
1958 D-28をはじめ、徐々にグローヴァー・ロトマティック・チューナーへと移行
1959 ピックアップ付きのOO-18E、D-18E、D-28E発売
1965 ブリッジ・サドルがロング・タイプからショートへ、D-35発売、ピックアップ付きモデルが製造完了
1966 ピックガード柄がトータス・シェルからブラックへ
1967 Tバー・トラスロッドからスクエア・スティール・チューブ・トラスロッドへ
1968 ブリッジ・プレートがメイプルからローズウッドへ、D-45が再生産
1969 スタイル21製造完了、ローズウッドがブラジル製からインド製へ
1970 D-41発売
1976 ヘリンボーン・トリム、スカラップト・ブレイシングを持つヴィンテージ・スタイルのHD-28が発売、建国200年モデルD-76が限定発売
1979 カスタム・ショップがスタート、以後多くの限定モデルが発売される、チューナーがグローヴァー102CからシャーラーM6へ
1981 カッタウェイ・モデル:DC-28、MC-28が発売
1984 フィニッシュ前に取りつけられていたピックガードがフィニッシュ後へ
1985 スクエア・スティール・チューブ・トラスロッドからアジャスタブル・トラスロッドへ
1986 D-45にメイプル・ブリッジ・プレート、スカラップト・ブレイシングが採用される
1988 ブリッジ・プレートがローズウッドから再びメイプルへ

※参考文献:Martin Guitars A History / Mike Longworth / Four Maples Press inc.

“サイズ”と“スタイル”一覧表

■サイズ一覧表

サイズ ボディ幅(インチ) スケール(インチ)
7(7/8) 13 11/16 23
5 11 /4 22
O(12F) 13 1/2 24.9
O(14F)
OO(12F) 14 1/8
OO(14F) 14 5/16
OOO(12F) 15
OOO(14F)
OOO(OM) 25.4
OOOO(M、J) 16
D(12F) 15 5/8
D(14F)

※スティール・ストリングスが使用されるようになった1920年代以降の主立ったモデル

■スタイル一覧表

スタイル スペック
15 マホガニー・トップ、サイド/バック・ボディ
16 スプルース・トップ、マホガニー・サイド/バック・ボディ、>
ローズウッド・フィンガーボード/ブリッジ
17 マホガニー・トップ、サイド/バック・ボディ、
ローズウッド・フィンガーボード/ブリッジ
18
(〜1945)
スプルース・トップ、マホガニー・サイド/バック、
エボニー・フィンガーボード/ブリッジ
18
(1946〜)
スプルース・トップ、マホガニー・サイド/バック、
ローズウッド・フィンガーボード/ブリッジ
19 スプルース・トップ、マホガニー・サイド/バック、
ローズウッド・フィンガーボード/ブリッジ
21 スプルース・トップ、マホガニー・サイド/バック、
ローズウッド・フィンガーボード/ブリッジ
28 スプルース・トップ、ローズウッド・サイド/バック、
エボニー・フィンガーボード/ブリッジ
35 スプルース・トップ、ローズウッド・サイド/3ピース・バック、
バウンド・エボニー・フィンガーボード/ブリッジ
41、42、45 スプルース・トップ、ローズウッド・サイド/バック、
バウンド・エボニー・フィンガーボード/ブリッジ、アヴァロン・インレイ

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シリアル・ナンバー表

Year# Last#   Year# Last#   Year# Last#   Year# Last#
1898 8348 1900 9128 1910 11203 1920 15848
1899 8716 1901 9310 1911 11413 1921 16758
    1902 9258 1912 11565 1922 17839
    1903 9810 1913 11821 1923 19891
    1904 9988 1914 12047 1924 22008
    1905 10120 1915 12209 1925 24116
    1906 10329 1916 12390 1926 28689
    1907 10727 1917 12988 1927 34435
    1908 10883 1918 13450 1928 37568
    1909 11018 1919 14512 1929 40843

Year# Last#   Year# Last#   Year# Last#   Year# Last#
1930 45317 1940 76734 1950 117961 1960 175689
1931 49589 1941 80013 1951 122799 1961 181297
1932 52590 1942 83107 1952 128436 1962 187384
1933 55084 1943 86724 1953 134501 1963 193327
1934 58679 1944 90149 1954 141345 1964 199626
1935 61947 1945 93623 1955 147328 1965 207030
1936 65176 1946 98158 1956 152775 1966 217215
1937 68865 1947 103468 1957 159061 1967 230095
1938 71866 1948 108269 1958 165576 1968 241925
1939 74061 1949 112961 1959 171047 1969 256003

Year# Last#   Year# Last#   Year# Last#   Year# Last#
1970 271633 1980 430300 1990 503309 2000 780500
1971 294270 1981 436474 1991 512487 2001 845644
1972 313302 1982 439627 1992 522655 2002 916759
1973 333873 1983 446101 1993 535223 2003 9788706
1974 353387 1984 453300 1994 551696    
1975 371828 1985 460575 1995 570434    
1976 388800 1986 468175 1996 592930    
1977 399625 1987 476216 1997 624799    
1978 407800 1988 483952 1998 668796    
1979 419900 1989 493276 1999 724077    

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メイン・テキスト

TOMUJI OHTANI
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MARTIN D-45/1969
 マーティン・ギターの歴史は、1833年にドイツからアメリカへと渡ったC.F.マーティン I世が、ニューヨークにギター・ショップを開いたことで始まる。同社は、現在会長を務めるC.F.マーティン IV世を含めて、常にマーティン一族の手によって運営されてきたこと、クリスチャン・マナーに準じた誠実な運営方針を取ってきたことなどで知られており、社内には過去に生産されてきたギターに関する正確で詳細な資料が残されている。特に1898年以降に製造されたギターには、現在まで続くシリアル・ナンバーがボディ内のネック・ブロック部分に刻印されていて、このナンバーを確認することで、ギターの製造年を正確に知ることができる。
マーティン・ギターは、OOOやDといった“サイズ”と、18、28といった“スタイル”を組み合わせたモデル名が採用されてきた。これは、前者がボディ・サイズやスケール、後者は使用材やグレードを伴った装飾類を表している。設立当初は小型のガット・ストリングス・ギターが製作されていたが、1920年代後半からはスティール・ストリングスが一般的となり、現在でも製造が続けられているサイズやスタイルを持ったモデルが登場するようになる。

 ここでは、マーティン・ギターのシリアル・ナンバー表と、ごく簡単な、代表的モデルのスペック、スティール・ストリングス時代以降の仕様変遷を、マーティン・ギターの日本総代理店業務を行なっている株式会社黒澤楽器店の了解の下にご紹介しよう。

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ESシリーズ仕様変遷

ES-125 1946年 ドット・ポジションマーク、フル・ディプス、1P-90
ES-125C(CD) 1966年 ES-125のカッタウェイ・バージョン(2ピックアップはES-125CD)
ES-125TD 1957年 ドット・ポジションマーク、シングル・カッタウェイ・スィンライン・アコースティック
ES-125TC(TDC) 1960年 ES-125Tのカッタウェイ・バージョン(2ピックアップはES-125TDC)
ES-140 1950年 3/4サイズ、ドット・ポジションマーク、シングル・カッタウェイ・フル・ディプス、1P-90
ES-175 1949年 ダブル・パラレログラム・インレイ、シングル・カッタウェイ・フル・ディプス、2P-90(57年からハムバッキング)
ES-225T 1951年 ES-175の2ピックアップ・バージョン
ES-225T 1955年 ドット・ポジションマーク、シングル・カッタウェイ・スィンライン・アコースティック、1P-90、レス・ポール・トラピース・ブリッジ・テイルピース
ES-225TD 1956年 ES-225Tの2ピックアップ・バージョン
ES-295 1952年 ゴールド・フィニッシュ、ダブル・パラレログラム・インレイ、シングル・カッタウェイ・フル・ディプル、2P-90(58年からハムバッキング)、レス・ポール・トラピーズ・ブリッジ・テイルピース
ES-330TD 1959年 ドット・ポジションマーク、ダブル・カッタウェイ・スィンライン・アコースティック、2P-90、(エピフォン・カジノのギブソン・モデル)
ES-335TD 1958年 ドット・ポジションマーク(62年からブロック・インレイ)、ダブル・カッタウェイ・セミ・アコースティック、2ハムバッキング
ES-340TD 1969年 ES-335TDのスペシャル・コントロール・モデル、メイプル5ピース・ネック
ES-345TD 1959年 ダブル・パラレログラム・インレイ、ダブルカッタウェイ・セミ・アコースティック、ゴールド・ハードウェア、2ハムバッキング、ステレオ・エレクトロニクス、ヴァリトーン・コントロール
ES-347TD 1978年 ブロック・インレイ、ダブル・カッタウェイ・セミ・アコースティック、ゴールド・ハードウェア、2ハムバッキング、コイル・タップSW、TP6テイルピース
ES355TD 1958年 ブロック・インレイ、ダブルカッタウェイ・セミ・アコースティック、ゴールド・ハードウェア、2ハムバッキング、ヴァイブローラ、(ステレオ・エレクトロニクス/ヴァリトーン・コントロール付きはES-355TDSV)

レス・ポール仕様変遷

レス・ポール・モデル
ローズウッド・フィンガーボード、トラペゾイド・インレイ、マホガニー・ネック、メイプル・トップ/マホガニー・バック・ボディ 1952〜53年 2P-90ピックアップ、ゴールドトップ、ニッケル・ハードウェア、レス・ポール・トラピーズ・ブリッジ/テイルピース
1953〜55年 2P-90ピックアップ、ゴールドトップ、ニッケル・ハードウェア、バー・ブリッジ・テイルピース
1955〜57年 2P-90ピックアップ、ゴールドトップ、ニッケル・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
1957〜58年 2ハムバッキング・ピックアップ、ゴールドトップ、ニッケル・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
レス・ポール・スタンダード
ローズウッド・フィンガーボード、トラペゾイド・インレイ、マホガニー・ネック、メイプル・トップ/マホガニー・バック・ボディ 1958〜60年 2ハムバッキング・ピックアップ、チェリー・サンバースト、ニッケル・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
ローズウッド・フィンガーボード、トラペゾイド・インレイ、マホガニー・ネック、SGシェイプ・1ピース・マホガニー・ボディ 1961〜63年 2ハムバッキング・ピックアップ、チェリー・フィニッシュ、ニッケル・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ、ヴァイブローラ
※モデル名がSGスタンダードへ 1963年〜  
ローズウッド・フィンガーボード、トラペゾイド・インレイ、マホガニー・ネック、メイプル・トップ/マホガニー・バック・ボディ 1968〜69年 2P-90ピックアップ、ゴールドトップ、クローム・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
※モデル名がレス・ポール・デラックスへ 1970年〜 2ミニ・ハムバッキング、クローム・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
ローズウッド・フィンガーボード、トラペゾイド・インレイ、マホガニー・ネック、メイプル・トップ/マホガニー・バック・ボディ 1974年 2ハムバッキング・ピックアップ、タバコ・サンバースト、クローム・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
ローズウッド・フィンガーボード、トラペゾイド・インレイ、メイプル・ネック、メイプル・トップ/マホガニー・バック・ボディ 1976年〜 2ハムバッキング・ピックアップ、クローム・ハードウェア、チューン"O"マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
レス・ポール・カスタム
エボニー・フィンガーボード、ブロック・インレイ、マホガニー・ネック、1ピース・マホガニー・ボディ 1954〜57年 P-480、P-90ピックアップ、エボニー・フィニッシュ、ゴールド・ハードウェア、チューン”O”マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
1957〜60年 3ハムバッキング・ピックアップ、エボニー・フィニッシュ、ゴールド・ハードウェア、チューン”O”マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
エボニー・フィンガーボード、ブロック・インレイ、マホガニー・ネック、SGシェイプ・1ピース・マホガニー・ボディ 1961〜63年 3ハムバッキング・ピックアップ、アイボリー・フィニッシュ、ゴールド・ハードウェア、チューン”O”マティック・ブリッジ、ヴァイブローラ
※モデル名がSGカスタムへ 1963年〜  
エボニー・フィンガーボード、ブロック・インレイ、マホガニー・ネック、メイプル・トップ/マホガニー・バック・ボディ 1968年〜 2ハムバッキング・ピックアップ、エボニー・フィニッシュ、ゴールド・ハードウェア、チューン”O”マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース
レス・ポール・ジュニア
ローズウッド・フィンガーボード、ドット・ポジションマーク、マホガニー・ネック、フラット・マホガニー・ボディ 1954〜58年 シングル・カッタウェイ、1P-90シングルコイル・ピックアップ、ブラウン・サンバースト、ニッケル・ハードウェア、ストップ・バー・ブリッジ・テイルピース
1958〜60年 ダブル・カッタウェイ、1P-90シングルコイル・ピックアップ、チェリー・フィニッシュ、ニッケル・ハードウェア、ストップ・バー・ブリッジ・テイルピース
ローズウッド・フィンガーボード、ドット・ポジションマーク、マホガニー・ネック、SGシェイプ・マホガニー・ボディ 1961〜63年 1P-90シングルコイル・ピックアップ、チェリー・フィニッシュ、ニッケル・ハードウェア、ストップ・バー・ブリッジ・テイルピース
※モデル名がSGジュニアへ 1963年〜  
レス・ポール・TVモデル
  1954〜58年 ※レス・ポール・ジュニアのライムド・イエロー・バージョン
  1958〜59年 ※レス・ポール・ジュニアのライムド・イエロー・バージョン
※モデル名がSGTVへ 1959〜60年 ※レス・ポール・ジュニアのライムド・イエロー/アイボリー・バージョン
レス・ポール・スペシャル
ローズウッド・フィンガーボード、バウンド・ドット・ポジションマーク、マホガニー・ネック、シングル・カッタウェイ・フラット・マホガニー・ボディ 1955〜58年 シングル・カッタウェイ、2P-90シングルコイル・ピックアップ、ライムド・イエロー・フィニッシュ、ニッケル・ハードウェア、ストップ・バー・ブリッジ・テイルピース
1958〜59年 ダブル・カッタウェイ、2P-90シングルコイル・ピックアップ、ライムド・イエロー/チェリー・フィニッシュ、ニッケル・ハードウェア、ストップ・バー・ブリッジ・テイルピース
※モデル名がSGスペシャルへ 1959〜60年  

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ファイアーバード&サンダーバード仕様変遷

ファイアーバード(1st)1963〜65年
リヴァース・ボディ・シェイプ、スルー・ネック I 1ミニ・ハムバッキング、ドット・ポジションマーク、バー・ブリッジ・テイルピース
III 2ミニ・ハムバッキング、ドット・ポジションマーク、バインディング、バーブリッジ・テイルピース、ショート・ヴァイブローラ
V 2ミニ・ハムバッキング、トラペゾイド・インレイ、バインディング、チューン"O"マティック・ブリッジ、ロング・ヴァイブローラ
VII 3ミニ・ハムバッキング、ゴールド・ハードウェア、ブロック・インレイ、エボニー・フィンガーボード、チューン"O"マティック・ブリッジ、ロング・ヴァイブローラ
サンダーバード(1st)1963〜65年
リヴァース・ボディ・シェイプ、スルー・ネック II 1ハムバッキング、チューン"O"マティック・ブリッジ、ストップ・バー・テイルピース
IV 2ハムバッキング、チューン"O"マティック・ブリッジ、ストップ・バー・テイルピース
ファイアーバード(2nd)1965〜69年
ノン・リヴァース・ボディ・シェイプ、セット・ネック I 2P-90ピックアップ、ドット・ポジションマーク、バー・ブリッジ・テイルピース、ショート・ヴァイブローラ
III 3P-90ピックアップ、ドット・ポジションマーク、バー・ブリッジ・テイルピース、ショート・ヴァイブローラ
V 2ミニ・ハムバッキング、ドット・ポジションマーク、チューン"O"マティック・ブリッジ、ロング・ヴァイブローラ
VII 3ミニ・ハムバッキング、ゴールド・ハードウェア、ドット・ポジションマーク、チューン"O"マティック・ブリッジ、ロング・ヴァイブローラ
XII 12弦仕様、2ミニ・ハムバッキング、ドット・ポジションマーク、チューン"O"マティック・ブリッジ、ストップ・バー・テイルピース
サンダーバード(2nd)1965〜69年
ノン・リヴァース・ボディ・シェイプ、セット・ネック II 1ハムバッキング、チューン"O"マティック・ブリッジ、ストップ・バー・テイルピース
IV 2ハムバッキング、チューン"O"マティック・ブリッジ、ストップ・バー・テイルピース
ファイアーバード メダリオン 1972年
リヴァース・ボディ・シェイプ、スルー・ネック V 2ミニ・ハムバッキング、トラペゾイド・インレイ、バインディング、チューン"O"マティック・ブリッジ、ロング・ヴァイブローラ
ファイアーバード(3rd)1976年〜
リヴァース・ボディ・シェイプ、スルー・ネック   2ミニ・ハムバッキングゴールド・ハードウェア、ドット・ポジションマーク、チューン"O"マティック・ブリッジ、ストップ・バー・テイルピース

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メイン・テキスト 2

TOMUJI OHTANI
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1953 GIBSON Les Paul Model

 次に各モデルに共通した仕様の変遷を簡単に追ってみよう。プリ・ウォー・タイプのギブソン・ロゴから現在のスクリプト・ロゴへの推移は1942年頃に始まり、機種によっては40年代末頃まで続く。またプリ・ウォー・タイプのギターのヘッドストックは、先端に行くに従って厚みが薄くなるようにテーパーが付けられているが、1952年頃からはヘッドストックの厚みがほぼ一定になった。シリアル・ナンバーに関しては別表を参照してもらうとして、スタンプ・インクによるヘッドストック裏側へのナンバリングが1952〜60年まで。それ以降は数字がヘッドストック裏側の木部に打刻されるようになる。また、1970年以降のヘッドストック裏側には“MADE IN U.S.A.”の文字も打刻されている。しかし、1980年代以降に登場したヴィンテージ・リイシュー・シリーズでは、シリアル・ナンバーまでもが、1950年代のルールに基づいてレプリカされているギターもあるので、注意が必要となる。

 1965年には、それまでのヘッドストック/ネック間の角度が17〜19°から約14°へと改められる。またブラジル製に混じってインド製のローズウッドが使用されるようになるのもこの頃から。今までのハードウェアに施されてきたニッケル・メッキは、徐々にクロムへと変更されるのだが、全てが切り替わるのは1970年代初頭まで待たなくてはならない。1968年に製造されたフラットトップ・ギターやエレクトリック・アーチトップ・ギターのピックガード上には、ギブソン・ロゴ、トレードマークが印刷されていることが多い。

 レスポールを中心としたモデルに当てはまるのが、1969年に行なわれた幾つかのモデルチェンジである。まず、1ピース・マホガニー・ネックが3ピースとなり、ナット部分裏側辺りにはボリュートが付けられるようになる。ヘッドストック・サイズも大型化され、1970年からはファイバー製のヘッドストック・ベニアへと切り替えられていく。レスポール・モデルのボディ・バックのマホガニー材が積層構造になるのもやはり1969年であり、1977年ごろまで続く。1971〜72年にかけて製造されたギターのピックアップ・カバーには“GIBSON”の文字が刻まれているものが多く、製造年を知る目安となる。1976年からは、多くのソリッド・ギターの生産がナッシュビル・ファクトリーへと移される。その特徴として挙げられるのが、3ピース・メイプルのネック、ワイドでアンカーを打ち込むタイプのナッシュビル・チューン“O”マティック・ブリッジの採用である。テイルピースは、きっちりとした形状へと変化し、重量のあるものへとモデルチェンジされる。

 1977年途中からは、シリアル・ナンバリング・システムが変更され、8桁の数字の一番左と左から5番目の数字を組み合わせたものが、製造年を表すようになる(ex.1978年は7XXX8XXX)。ヴィンテージ・リイシュー・モデルや特別なカスタム・ショップ・モデルなどを除き、このルールは現在のギターにも引き継がれているので、製造年を知る上での有効な手がかりといえよう。

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メイン・テキスト 1

 1800年代末から楽器の製作を始めたオーヴィル・ギブソン。彼のギター・ショップから生まれたマンドリン、アーチトップ・ギターはアメリカを代表する楽器として人々に愛されるまでになった。

 ここでは、多くの人が興味を抱くであろう1950年代以降のギブソン・エレクトリック・ギターの推移について簡単に説明しよう。多くの種類にまたがる楽器を作り出してきたギブソン社のシリアル・ナンバーは、フェンダー社よりも更に混沌としている。ギターにユニークなシリアル・ナンバーが振られるようになるのが1952年。それ以前のギターに見られるのは、“ファクトリー・オーダー・ナンバー”と呼ばれるものが多く、数十本ごとにロット・ナンバーが振り分けられている。また、高級モデルに関しては、別個に“A”から始まる“シリアル・ナンバー”というものが使われている。1950年代以降のモデルに関しては、フラットトップ・ギター、エレクトリック・ギターに共通したナンバリングが採用され、1957年に買収したエピフォン・ブランドのギターにも、ギブソンと共通したナンバリング・システムが1969年まで使用される。

 1950年代のギブソン・シリアル・ナンバーは、一番左の数字が製造年を表すという単純なルールが採用されているので、大まかな仕様と合わせて確認すれば、製造年を割り出すことが簡単にできる。しかしながら、1960年代のシリアル・ナンバーは、とても混沌として錯綜している。番号順に並んでいるとは言い難いばかりでなく、1966年と1969年には重複したナンバーが使用された可能性も否めない。従って、製造年を知るための手がかりとしては、まず仕様変遷を確認した上で、大まかなナンバリング・リストとも相反しないかを調べるといった手順を取る必要がある。

 製造機種が多いギブソン・ギターでは、そのモデルが何年に発売されたか、そして製造されていた期間をチェックすることから始めよう。特にレスポール・シリーズやファイアーバード、フライングVといったモデルに関しては、モデル名の変更をも踏まえた製造時期やモデルチェンジ、単発での再生産といったものが繰り返されてきたので、細かく照らし合わせる必要がある。

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シリアル&仕様変遷表

1946年
レオ・フェンダーとドク・カフマンによって前年設立されたK&Fがフェンダー社へと変更  
1950年
史上初の量産型ソリッド・エレクトリック・ギター、ブロードキャスター発売 メイプル・1Pネック、25 1/2インチ・スケール、ホワイト・アッシュ・ボディ、ブロンド・フィニシュ、ブラック・ベークライト・ピックガード
1951年
ブロードキャスターのモデル名がテレキャスター(2PU)、エスクァイア(1PU)ヘと変更、史上初の量産型ソリッド・エレクトリック・ベースとなるプレシジョン・ベース発売 メイプル・1Pネック、34インチ・スケール、ホワイト・アッシュ・ボディ、ブロンド・フィニッシュ、ブラック・ベークライト・ピックガード、シングルコイル・ピックアップx1
1954年 / sn:〜6,XXXs
ストラトキャスター発売
プレシジョン・ベース:ピックガードがホワイト・1P、ストラトキャスター・タイプのコンター加工付きボディ、2トーン・サンバースト・フィニッシュへ<
メイプル・1Pネック、25 1/2インチ・スケール、ホワイト・アッシュ・ボディ、2トーン・サンバースト・フィニッシュ、ホワイト・1Pピックガード、シングルコイル・ピックアップx3,シンクロナイズド・トレモロorハード・テイル・ブリッジ
1955年 / sn:〜8,XXXs
テレキャスター・ピックガード1Pホワイトへ
1956年 / sn:〜1X,XXXs
ジュニア・モデル、ミュージックマスター(1PU)、デュオ・ソニック(2PU)発売
ストラトキャスター、プレシジョン・ベースのボディ材がアルダーへと変更(ブロンド・フィニッシュは引き続きホワイト・アッシュ材)
メイプル・1Pネック、22 1/2インチ・スケール、ポプラ・ボディ、オフホワイト・フィニッシュ、ゴールド・アナダイズド・ピックガード、1シングルコイル・ピックアップ(ミュージックマスター)、2シングルコイル・ピックアップ(デュオ・ソニック)
1957年 / sn:〜2X,XXXs
プレシジョン・ベースがスプリット・ピックアップに  
1958年 / sn:〜3X,XXXs
ストラトキャスター、プレシジョン・ベースが3トーン・サンバーストへ
ジャズマスター発売
ローズウッド/メイプル・ネック、25 1/2インチ・スケール、アルダー・ボディ、3トーン・サンバースト・フィニッシュ、ゴールド・アナダイズド・ピックガード、フリー・フローティング・トレモロ、
1959年 / sn:〜4X,XXXs
全てのギター/ベースがロースウッド・フィンガーボードへ
ストラトキャスターのピックガードが3Pホワイトへ
プレシジョン・ベース、ジャズマスターのピックガードがトータス柄へ
テレキャスター・カスタム、エスクァイア・カスタム発売
ロースウッド/メイプル・ネック、25 1/2インチ・スケール、アルダー・バウンド・ボディ、3トーン・サンバースト・フィニッシュ、ホワイト・3Pピックガード
1960年 / sn:〜5X,XXXs
ジャズ・ベース発売 ローズウッド/メイプル・ネック、25 1/2インチ・スケール、アルダー・ボディ、3トーン・サンバースト・フィニッシュ、トータス柄ピックガード、2シングルコイル・ピックアップ、スタック・コントロールx2、
1961年 / sn:〜7X,XXXs
6弦ベース、ベース・ギターVI発売 ローズウッド/メイプル・ネック、30インチ・スケール、アルダー・ボディ、2シングルコイル・ピックアップ、フリー・フローティング・トレモロ
1962年 / sn:〜9X,XXXs
ジャガー発売
フィンガーボードのローズウッドが厚いスラブボードから薄いラウンド・タイプへ
ローズウッド/メイプル・ネック、24インチ・スケール、アルダー・ボディ、3トーン・サンバースト・フィニッシュ、トータス柄ピックガード、フリー・フローティング・トレモロ、
1963年 / sn:〜L2X,XXXs
   
1964年 / sn:〜L6X,XXXs
ムスタング発売
主要モデルがゴールドの大型トランジション・ロゴへ
ローズウッド/メイプル・ネック、24インチ・スケール、ポプラ・ボディ、2シングルコイル・ピックアップ、ダイナミック・トレモロ
1965年 / sn:〜L9X,XXXs
ストラトキャスターをはじめ、テレキャスターを除く全てのモデルがラージ・ヘッドストックへ
テレキャスターにメイプル・キャップ・フィンガーボード・オプション
エレクトリックXII発売
5弦ベース、ベースV発売
ローズウッド/メイプル・ネック、25 1/2スケール、アルダー・ボディ、2スプリット・ピックアップ、12弦モデル
1966年 / sn:〜1XX,XXXs
ムスタング・ベース発売
セミ・アコースティック・モデルのコロナド・シリーズ発売
 
1967年 / sn:〜2XX,XXXs
テレキャスターを筆頭に主要モデルがブラックの大型CBS・ロゴへ  
1968年
"テレキャスターにスィンライン、ピンク・ペイズリー、ブルー・フラワー発売
オリジナル・プレジション・ベースのリイシューとなるテレキャスター・ベース発売"
 
1969年
ストラトキャスターにメイプル・キャップ・フィンガーボード・オプション
テレキャスターにローズウッド・モデルが発売
 
1970年
主要モデルに1Pメイプルが復活
エスクァイア、エスクァイア・カスタムが製造完了
ジュニア・モデル、ブロンコ、ミュージックマスター・ベース発売
 
1971年 / sn:〜3XX,XXXs
ストラトキャスターのトラスロッド・キャップがヘッドストック側へ移動、同時に3ボルト・ジョイントに  
1972年
テレキャスター・カスタムがセカンド・バージョンへと推移
テレキャスター・スィンラインが2ハムバッキング・ピックアップへ
テレキャスター・デラックス発売
フロントにハムバッキング・ピックアップ、リアにシングルコイル・ピクアップ(カスタム)、2ハムバッバッキング(デラックス)、4コントロール・ノブ、大型ブラック・ピックガード、トラスロッド・キャップはヘッドストック側、3ボルト・ジョイント
1973年 / sn:〜5XX,XXXs
   
1975年
プラスティック・パーツ類が徐々にブラック、ボディ材がアルダーからホワイト・アッシュへと徐々に移行
ジャズ・ベースのトラスロッド・キャップがヘッドストック側ヘと移動、同時に3ボルト・ジョイントに
 
1976年 / sn:〜6XX,XXXs / sn:7,600,000〜
シリアル・ナンバーがヘッドストック・フェイスへ移動
スターキャスター発売
ローズウッド/メイプル・ネック、25 1/2インチ・スケール、ホワイト・アッシュ・セミ・アコースティック・ボディ、2ハムバッキング・ピックアップ
1977年 / sn:〜S7XX,XXXs
ストラトキャスターに5ウェイ・セレクタ採用
1978年 / sn:〜S8XX,XXXs
   
1979年 / sn:〜S9XX,XXXs
ストラトキャスター発売25周年を記念したアニヴァーサリー・モデル発売
リードI、リードII発売
ローズウッドorメイプル1P/メイプル・ネック、25 1/2インチ・スケール、ホワイト・アッシュ・ボディ、1ハムバッキング(リードI)、2シングルコイル・ピックアップ(リードII)
1980年 / sn:〜E0XX,XXXs / sn:〜S9XX,XXXs
ブラス・ハードウェアを搭載したデラックス・モデル、ザ・ストラト,プレシジョン・スペシャル発売  
1981年 / sn:〜E1XX,XXXs / sn:〜S9XX,XXXs
スーパー・(ウォルナット・)ストラト、ウォルナット・プレシジョン・スペシャル発売
ゴールド・ストラト発売
ヴィンテージ・テレキャスター発売
ブラック・アンド・ゴールド・テレキャスター発売
ジュニア向けにバレット・シリーズ発売
 
1982年 / sn:〜E2XX,XXXs / sn:〜S9XX,XXXs / sn:V00,000〜
ストラトキャスターがスモール・ヘッドストックへ
ヴィンテージ・ストラトキャスター、ジャズ・ベース、プレシジョン・ベース発売
 
1983年 / sn:〜E3XX,XXXs / sn:〜VXX,XXXs
既存モデルが一旦製造完了、新たにスタンダード・シリーズ、エリート・シリーズ、ヴィンテージ・シリーズという3ラインがスタートする  
1985年
ブランドの売却に伴ってランナップが再び見直される。アメリカン・スタンダード・シリーズ、アメリカン・ヴィンテージ・シリーズ発売  

※sn:Serial Number
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